専修学校の質の保証・向上に関する調査研究協力者会議(第19回) 議事録

1.日時

平成30年4月26日(木曜日)15時30分~17時30分

2.場所

文部科学省9F生涯学習政策局会議室

3.議題

  1. 社会人向け短期プログラムの認定要件等について
  2. 平成29年度職業実践専門課程の認定等について
  3. 今後の職業実践専門課程の振興の方向性について

4.出席者

委員

植村 一希 福岡大学人文学部准教授
岡本 比呂志 東京都立葛西総合高等学校主幹教諭、東京都高等学校進路指導協議会事務局長
川口 昭彦 大学改革支援・学位授与機構顧問、専門職高等教育質保証機構代表理事
小杉 礼子 独立行政法人労働政策研究・研修機構特任フェロー
小林 英文 日本商工会議所企画調査部担当部長
小林 光俊 学校法人敬心学園理事長、全国専修学校各種学校総連合会会長
今野 雅裕 政策研究大学院大学特任教授並び政策研究院参与
清水 信一 学校法人武蔵野東学園常務理事、全国高等専修学校協会会長、全国専修学校各種学校総連合会常任理事
寺田 盛紀 岡山理科大学教授、名古屋大学名誉教授
野口 昌利 東京都生活文化局私学部私学行政課長
前田 早苗 千葉大学国際教養学部教授
前鼻 英蔵 学校法人西野学園理事長、全国専修学校各種学校総連合会理事・総務委員
吉本 圭一 九州大学人間環境学研究院教授

文部科学省

常盤 豊 生涯学習政策局長
塩見 みづ枝 生涯学習総括官
萬谷 宏之 生涯学習推進課長
廣野 宏正 専修学校教育振興室長
河村 和彦 専修学校教育振興室専門官
廣田 英樹 教育改革調整官

オブザーバー

5.議事録

【今野副座長】 皆様こんにちは。それでは、所定の時刻になりましたので、ただいまより、専修学校の質の保証・向上に関する調査研究協力者会議、今日は第19回目になりますけれども、開催いたします。皆様には、御多用の中、お集まりいただきまして、ありがとうございます。 本日は、黒田座長が御欠席でございますので、副座長の今野が代わりに進行を務めさせていただきます。

 初めに、委員の交代がありましたので、御紹介をお願いします。

【廣野専修学校教育振興室長】 それでは、年度をまたがりまして、委員の本務での異動がございました。それに伴いまして、今年度から、2名の委員が新しく御参画いただきましたので、紹介をさせていただきます。

 まず、大井川委員の後任といたしまして、日本商工会議所企画調査部担当部長の小林英文委員でございます。

【小林(英)委員】 小林です。よろしくお願いいたします。

【廣野専修学校教育振興室長】 続きまして、吉原委員の後任といたしまして、東京都生活文化局私学部私学行政課長、野口昌利委員でございます。

【野口委員】 野口でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

【廣野専修学校教育振興室長】 また、前回開催12月の会議以降、事務局内にも異動がございましたので、紹介をさせていただきます。

 まず、教育改革調整官として、廣田が着任してございます。

【廣田教育改革調整官】 廣田でございます。よろしくお願い申し上げます。

【廣野専修学校教育振興室長】 また、専修学校教育振興室専門官の河村でございます。

【河村専修学校教育振興室専門官】 河村と申します。よろしくお願いします。

【廣野専修学校教育振興室長】 以上でございます。

【今野副座長】 ありがとうございました。

 それでは、会議を進めてまいります。本日、報道関係者より写真撮影と録音の申出がございました。委員の皆様におかれましては、御承知の上、御発言ください。

 まず初めに、事務局より、本日の配付資料の確認をお願いいたします。

【廣野専修学校教育振興室長】 本日、お配りさせていただいております資料ですが、1から9がございます。それぞれ枝番もございますが、資料1、2、3の3種類に加えまして、参考資料が2種類ございます。あとは、議事次第の配付資料に記載のとおりの資料を配付させていただいてございます。

 また、これまでの配付資料、また、議事録は机上資料にございますので、御確認いただければと思います。足りないものがございましたら、事務局にお申し付けいただければと思います。

 以上でございます。

【今野副座長】 ありがとうございました。

 それでは、議事に移ります。最初の議題として、社会人向け短期プログラムの認定要件等について、事務局より資料の御説明をお願いします。

【廣野専修学校教育振興室長】 議事1に関しましては、資料1の枝番の1、2、3、併せまして、参考資料の2種類がございます。

 昨年度の会議でも御審議いただきました、「専門学校による社会人向け短期プログラム」の制度創設に向けまして、具体的な認定要件案をおまとめさせていただいているのが資料1-1でございます。資料1-2が、認定要件に関しましての留意点ということで、こちらも現時点のものとして御用意をさせていただいております。それに、参考資料といたしまして、認定要件の設定の考え方のベースとしてございます、既に存在しております職業実践専門課程の認定要件、また、大学等の対象でございますが、職業実践力育成プログラムの認定要件、こちらの留意点等も含めました資料を参考資料として付けさせていただいてございます。

 内容につきましては、資料1-3で、概要をお配りさせていただいてございます。前回の会議でも御説明させていただきましたが、今後、社会人の学び直しを受け入れる様々なプログラムを提供していくという観点から、専修学校における短期の社会人向けプログラムの開発、充実といったものを促進していく枠組みとして、大臣認定の仕組みを創設できないかということでございます。

 1枚目には、社会人受け入れの現状、また、課題をまとめさせていただいております。2枚目、おめくりいただきますと、認定制度についての考え方を示させていただいてございます。新たな大臣認定制度につきましては、専門学校が提供する2年未満の正規課程及び履修証明プログラムというものを対象といたしまして、これまで実績がございます職業実践専門課程の実践的教育プログラムの認定要件、また、専門実践力育成プログラム(BP)の要件、そして、社会人向けプログラムであることの可視化を担保するための要件といたしまして専門実践力育成プログラムの要件、そういったものを参考としながら設計できないかという考え方で検討を進めてまいっているところでございます。その要件を具体的な項目の形で整理をさせていただいたのが、資料1-1でございます。

 3ページ目では、具体的な認定対象のイメージということで上げさせていただいてございます。まず左側、正規課程のものといたしまして、こちらは1年間の課程でございますけれども、養成する人材像を設定しながら、また、主な対象者ということで、大学・短大・専門学校卒業者、社会人を想定してございます。こちらは職業実践専門課程ですと、2年以上の課程を通じて職業人材、また、出口の人材を養成するということがございますけれども、最初の主な対象者として、学修歴、また、社会人としての職務経験といったものをベースとすることで、1年間の短期の部分であったとしても養成する人材像につなげていくということを、プログラムの構成として設定されているものを、こういう認定の枠組みの中で奨励していこうという考え方でございます。

 附帯事業についても同様の考え方でございます。学修時間は短期ということになりますけれども、既に職業分野で従事経験がある、また、資格を持っている、そういった受講者の職務経験というものをベースとしながら、今後、新しい働きをする上での学び足しをしていく部分をプログラムとして設定し、それを認定する枠組みの中で、開発を奨励していきたいという考え方でございます。

 4枚目については、参考データを付けさせていただいてございますが、割愛をさせていただきたいと思います。

 資料1-1、1-2にお戻りいただければと思います。そうした考え方の下で、具体的な認定要件の設定を項目として書かせていただいてございます。項目としては、1から10ということで設定してございますが、それぞれ、職業実践専門課程から援用してきている部分、BPから援用してきている部分ということがございますが、こういった要件を設定することによって、念頭に置いております社会人向けの短期プログラムが充実した形で提供される。また、そういうことを促進していく枠組みとしていきたいと考えてございます。下段には、今後のスケジュール案でございます。今はまだ案でございますので、実際の告示案、制度として省内の手続を経て、パブリックコメントに掛けていきたいと思っております。今年度、7月、8月にかけたあたりで、職業実践専門課程の新規認定の募集をさせていただきますので、その時期に合わせて、こちらの社会人向け短期プログラムの推薦についても発出をできればと考えてございます。以下のスケジュールにつきましては、職業実践専門課程の流れと時期を合わせる形で進めていきたいと考えてございます。

 資料1-2では、留意点ということで上げさせていただいてございます。こちらも、職業実践専門課程、また、BPの運用も踏まえまして、新たなプログラムの認定要件として、運用の考え方を留意点として上げさせていただいてございます。現時点で整理しているものでございますので、今後さらに詰めていく中で、追加もあろうかと思いますが、まずは、本認定の対象とするプログラムといたしまして、あくまで一般に向けて募集を掛けているということでございまして、国や県から開設について委託を受けて行っているプログラムは対象として含まないという考え方、また、単なる資格・試験の受験対策ですとか、一般教養的な知識を得ることを目的とするプログラムは認定対象として含まないという考え方でやっていきたいと考えてございます。また、既に開設されて、実績のあるプログラムということで、認定の対象としていきたいと考えているところでございます。

 また、その他の要件につきましても、職業実践専門課程の認定の枠組みが念頭にございますけれども、今回新たに、履修証明プログラムも認定の枠組みに入れていくということがございますので、そのあたりの調整、また、既に職業実践専門課程の認定を受けている場合におきましては、新たな短期のプログラムにつきましても、既存の枠組み、取組を活用できるような形で認定審査を進めていければということを、(2)の留意点等々で記させていただいてございます。今後さらに詳細を詰めまして、パブリックコメントに向けた準備を進めていきたいと考えてございます。

 以上でございます。

【今野副座長】 ありがとうございました。

 社会人向け短期プログラムにつきましては、これまでも何度か議論を頂いてきておりますけれども、認定要件レベルにまで詰まってまいりました。きょう、御意見を頂ければと思っております。どなたからでも、どうぞ。

 小杉先生、どうぞ。

【小杉委員】 資料1-3の右肩のところに、労働政策審議会人材開発分科会配付資料より作成となっておりますが、私、その人材開発分科会に出ているんですけれども、そこでのかなり厳しい意見も出ましたので、皆様に御紹介したいと思います。一番課題とされましたといいますか、これが人材開発分科会に説明されたのはなぜかというと、専門実践教育訓練給付金という厚生労働省の仕組みがあるわけですが、その枠組みにこれを乗せるかどうか、乗せるという前提で説明があったという次第です。そこで、この専門実践教育訓練給付金というのは、これまでありました一般的な教育訓練給付金に比べて、中長期的に労働者のキャリア形成に資するためという目的があって、別枠として作られて、これまでよりもかなり高額な給付が受けられるという仕組みなので、その財源を提供しております労使から、それぞれ厳しい意見があったということです。

 基本的なものは、果たしてこのプログラムが労働者の中長期的なキャリア形成に資するものなのかどうかということがよく分からない。端的に申し上げますと、例として3ページ目に、2つのITライセンス科と介護人材アドバンスプログラムという事例が出ておりますけど、この事例を見ても、これが果たして本当に労働者のキャリアに役立つのか、あるいは、実際に労働力需要があって、これを経ることによって、キャリアを高めて就業できるということにつながるのか、そこがよく分からない。そういう本来の目的に沿ったものかどうかというのがよく分からないという指摘がございました。その点につきまして、この制度そのものは、そもそも文科省のものであって、厚労省のものではないので、これはこれで議論していくのは当然なんですけれども、わざわざ人材開発分科会に御説明されたということは、協調して行っていこうという想定があるんだと思いますが、労政審の方ではかなり厳しい見方もあるということをお伝えしておきたいと思います。特に、質の保証といいますが、プログラムの内容というよりは、労働市場の需要にちゃんとマッチしたものなのか、個人がそれでキャリア形成につながるのかどうか、その辺について、詳しく分かるような説明が欲しいという議論があったことを御紹介したいと思います。

【今野副座長】 ありがとうございます。結構厳しいですね。端的な反論みたいなものはあったでしょうか。いや、実際に役に立ちますよというようなのは。

【小杉委員】 文科省の関係者は直接は出席されていませんし、さらに、もちろん専門学校の方も出席されていないので、反論というよりは、今後、その辺について文科省とも協議していきますという、厚労省側からのお返事があったということです。

【今野副座長】 では、今後はよく両省で調整していただいて、理解を頂くようにしていかないといけないということですね。

【小杉委員】 はい。

【今野副座長】 ほか、いかがでしょうか。何か意見はございますか。特にないようでございます。ありがとうございました。短期プログラム認定制度につきましては、これまでの、あるいは、特に今日のお話も踏まえて、具体的な制度設計に進んでいただくように、事務局で進めていただくようにお願いしたいと思います。

 それでは、次の議題に移ります。平成29年度職業実践専門課程の認定等について、事務局より資料の説明をお願いします。

【廣野専修学校教育振興室長】 それでは、資料2、3におきまして、29年度における認定審査、また、状況を報告させていただきます。

 資料2につきましては、昨年度における新規の認定状況でございます。29年度の認定におきましては、学校数94、学科数でいいますと152の認定がございまして、平成30年2月27日現在におきましては、学校数として954、学科数として2,885の認定が行われているということでございます。下の方には、分野別の認定学科の数を付けさせていただいております。2枚目が、都道府県別の認定状況を付けさせていただいてございます。傾向を見ていただいたらお分かりのように、新規の認定学科数というのは逓減状況でございます。今後の、次の議事3にも関わってまいりますけれども、こうした状況の中で、認定学科の数というよりも、質に着目した取組が必要ではないかと考えているところでございます。

 続きまして、資料3でございます。昨年度には、新規の認定審査に加えまして、新たにフォローアップ審査を開始させていただいたところでございます。これは、平成25年度、最初に認定を受けた学科につきまして、現在の取組状況を提出いただきまして、その状況を確認させていただいたというものでございます。上段にございますのが、新規認定審査の概要でございます。下の方で、新規認定審査において指摘又は確認を行った主な事例ということで上げさせていただいております。新規の申請の中で、教育課程編成委員会の委員の、どなたになっていただくのか、また、選任理由を提出いただくことになってございますが、その選任理由が、個人の方がこういう業績、経歴がございますということはございますけれども、その方がその企業とどういう関わりで、また、学科の専門分野における関係性といったものがどういうものになっているのかというのが、申請の中からは見えないということがございましたので、そういった関係性についても確認を行ったという事例が多くございました。また、多かった事例といたしまして、現在、企業等と連携した教員研修の実施を要件としてございますが、その研修の中には、専門的な実務に関する知識、技術、技能を修得・向上する研修と、もう一つ、授業及び生徒に対する指導力といった研修、その両面を求めているところでございます。その中で、一つの研修を記載してございまして、その両面、2種類求めているものにそれぞれどういうふうな対応をしているのかということで、研修の内容について追加で確認を行ったことがございました。これは認定審査の中で、提出いただいた書類の中からは、本来の職実課程の取組として、趣旨が確認できなかったものということで、主にこういった事例があったということでございました。こうした中で、今後の審査の枠組み、また、確認の際に求める視点といったものを、どのように今後設定していくのかというところは、重要な見直しの観点ではないかと考えてございます。

 もう一つ行いました、フォローアップ審査でございます。こちらはまだ、指摘事項を介しながらやりとりを行っている最中でございますけれども、その中でも、確認が必要だった事例というものを主なものとして上げさせていただいてございます。先ほどの新規認定審査にも非常に関わる部分でございますが、教育課程編成委員会の企業等委員の不足ということでございまして、今、様々な学校の中で、複数の認定学科を持たれているところが増えてきてございます。原則的には、それぞれの認定学科ごとに教育課程編成委員会を設けていただきまして、その中で、企業等の関係委員の参画を頂くということでございますが、実際には学校単位で、複数の学科を共同して教育課程編成委員会を置いているということもございます。そうした運用をされている場合に、認定学科に相当する企業等委員の数が足りていないんじゃないかということで、そういった事例がございましたので、それを指摘、確認をさせていただくというのが、幾つか見受けられたということでございます。 2つ目につきましては、先ほどの新規認定の審査と同じでございます。研修の中身、意義というものを申請の中では確認できなかったということで、取組の内容について確認を行ったということがございます。

 今後、フォローアップを継続して行うこととしてございますが、その際にどういった観点、視点で確認を行い、どういったところを書類として求めていくのかといった運用の在り方についても、充実を図っていく必要があるということで、こうした事例があったということで御紹介をさせていただきます。

 以上でございます。

【今野副座長】 ただいまの事務局からの説明につきまして、御質問がございましたら受けたいと思います。御意見などにつきましては、次の議題の方でお話しいただきたいと思います。質問ございませんでしょうか。それでは、先に次の方に行きましょう。ありがとうございました。

 引き続いて、事務局より資料の説明をお願いいたします。

【廣野専修学校教育振興室長】 続きまして、資料4でございます。こちらは、昨年度、委託事業におきまして、三菱総合研究所様の方で調査をまとめていただいたものでございます。

 本日、担当いただいた方に御出席いただいておりまして、内容についての御説明をしていただきたいと思っておりますが、よろしいでしょうか。

【今野副座長】 どうぞ、もちろん結構です。

【廣野専修学校教育振興室長】 それでは、よろしくお願いいたします。

(沼田主任研究員、関係者席に移動)

【三菱総合研究所(沼田主任研究員)】 それでは、資料4に基づきまして、実態調査に関する説明をさせていただきます。ページをおめくりいただきまして、1ページ、調査概要をご覧ください。調査に関しましては、前回も御紹介させていただいたところでございますけれども、職業実践専門課程の実態等に関する調査研究のアンケート調査を昨年11月に実施させていただきました。 調査対象は、認定学科全学科、認定学科を有さない学校様、卒業生ということで、回収率等は表に書いてあるとおりとなってございます。

 内容について説明してまいりたいと思います。2ページをご覧ください。まず、回答校の属性でございますけれども、認定学科に関しましては、工業関係が最も多く、次いで商業実務、文化・教養、非認定学科に関しましては、医療関係が多く、衛生、文化・教養というところで、おおむねもともとの認定の学科の割合に近くなっているところでございます。また、回答校の認定の状況でございますけれども、こちらも本来のものとほぼ近い状態になっておりまして、平成26年に認定された学科が約半数、平成29年に認定された学科が8.3%でございました。4ページ目をご覧ください。4ページ目以降、教育課程に関する取組についてでございます。教育課程に関する全ての取組状況に関しまして、認定学科の方が非認定学科の取組を上回って実施されているというような結果でございました。

 また、5ページをご覧いただきまして、教育課程編成委員会の実施体制に関しましては、「教育課程編成委員会の討議結果を検討、遂行する組織体を学科として有している」という認定学科が68.7%、「教育課程編成に関する学校関係者評価の結果を審議事項としている」というところが63.7%でございました。続きまして、6ページをご覧ください。教育課程編成委員会の検討内容のカリキュラムへの反映状況やその成果でございましたけれども、「反映状況や成果について、学校関係者評価委員会で審議している」学科というものが56.3%ございました。

 続きまして、教員研修に関する事項を7ページ以降で御説明をさせていただきます。まず、7ページでございますが、教員に対する研修における企業等との連携に関してでございます。こちらに関しては、全ての連携方法において、認定学科は非認定学科における取組を上回る実施状況となっているところでございます。 続きまして、8ページでございますけれども、教職員の資質向上・担保に関する取組でございます。こちらに関しても、全ての取組において、認定学科の方が非認定学科の取組状況を上回っているところでございます。多いものに関しては、学生による授業評価であるとか、教員の教育に関する業績の評価、あるいは、アクティブ・ラーニングを推進するためのワークショップや授業検討会というところで、特に差が大きくなっているところでございました。
続きまして、9ページでございますが、能力開発への専任教員の参加状況でございます。こちらに関しては、専任教員の参加状況は、認定学科の方が非認定学科を上回っております。全員参加している学科に関しては、認定学科で47.3%、非認定学科で32.2%でございました。続きまして、企業等と連携した教員研修による効果でございます。10ページをご覧ください。こちらに関しては、「効果があった」に着目すると、「担当分野の実務に関する知識・技能の向上」が最も多く、46.9%という結果になってございました。

 11ページ以降では、学校評価について御説明をさせていただきます。まず、自己評価、学校関係者評価を行っている非認定学科は、それぞれ78.4%、37.6%でございました。認定学科に関しては義務ですので、100%でございます。第三者評価に関しましては、認定学科は32.8%、非認定学科は9.6%の実施率となっているところでございます。続きまして、12ページでございますけれども、実施体制でございます。学校関係者評価を教育課程編成委員会と連携して実施している学科は69%でございました。また、学校関係者評価委員会の開催に当たり、資料を事前送付している学科というものが50.3%ございました。また、学校関係者評価での議論の時間に関してでございますけれども、議論の時間が多かったものについては、「教育方法・教育評価」についてが最も多くて56.8%、次いで、「学習成果」に関してが51.2%、「教育課程編成委員会での審議状況」の内容については11.9%でございました。

 続きまして、14ページでございます。情報提供について、ホームページで提供している情報でございますけれども、個別の項目に関して見ますと、多くの項目について、認定学科の方が非認定学科よりも情報提供をしているという結果になっているところでございます。最後に、15ページでございます。認定要件充足維持のための苦労の度合いでございます。こちらは、認定年度別に表にしているところでございます。苦労の度合いに関しては、研修を組織的に実施する、あるいは、授業科目等の教育課程を編成するというものが、より苦労しているという回答が多くなっているところでございます。認定年度別に見ますと、認定年度が過去であるほど、苦労の度合いは低くなる傾向になっているところでございます。

 御説明は以上でございます。

【今野副座長】 ありがとうございます。ただいま沼田主任研究員から御説明を頂きました。御説明につきまして、御質問等ございましたら、どうぞ。

 どうぞ、寺田委員。

【寺田委員】 これで2年連続でしたか、継続的に調査をして、おおむね今のような報告で、認定学科が非認定学科に対して、かなり積極的に取組を進めたという、これもはっきりしたと思います。きょう報告がなかった、今後の課題という点でいいますと、卒業生調査の部分がなかなか複雑でして、必ずしも認定学科が非認定学科に対して全ての点で上回るというわけでもなかったという、おおむね積極性が見られたんですけれども、項目によってはそうでもないというようなこともありました。そこからいろいろな今後の課題が出てくるわけだと思います。産学連携方式の授業科目の密度の度合いであるとか、いろいろな課題が出てくるということと、もう一つ、調査としても引き続き、これは卒業生が出て、まだ2回か3回ぐらいということもあって、もう少し継続的に、認定学科の教育を受けた人とそうじゃない人との差であるとか、あるいは、ピンポイントでどこか、非常に特色のあるような取組をしているところを調べることが課題ではないかというふうに、最終報告では文章を提案したと思っておりまして、別途、膨大な資料を御参照いただければ幸いです。

 以上です。

【今野副座長】 ありがとうございました。そのほか。

 どうぞ、前田委員。

【前田委員】 2ページのところで、回答校の分野が認定学科と非認定学科で違っていますが、回答に分野ごとの特性というのは影響していないのかどうかについても分析されているかどうかということをお伺いしたいと思います。

【三菱総合研究所(沼田)】 ありがとうございます。認定か非認定かのところに、さらにクロスとして、8分野で結果を見させていただいて、今回はまとめた結果だけ示しておりますけれども、おおむね学科調査に関してはこのような傾向になっているところでございます。

【今野副座長】 どうぞ、小林委員。

【小林(光)委員】 今の御質問に関してですが、2ページの分野特性のところで非認定学科が多い分野は、医療関係です。ほかの分野と比べますと、非認定学科の方が特段多い。これは推測ですが、看護専門学校がここに入っているのではないかと思われます。看護専門学校の場合、厚生労働省の指定・指導の養成施設ですから、我々、全専各連のメンバーである学校は非常に少ないです。厚労省の方を向いていらっしゃる。補助金体制もそのような構造になっています。そのため、医療関係の学科では職業実践専門課程の認定が少ないという調査結果になったのではないかと思います。資料を細かく見れば、職業実践専門課程認定学科の方が非認定学科よりも、いい成果が出ていることがはっきりしています。例えば11ページの「学校評価の実施状況」では、職業実践専門課程の認定学科に「自己評価」「学校関係者評価」が義務付けられているため、100%になっております。しかし、非認定学科でも、学校評価を実施されているところもある。学校関係者評価に近いことを実施されているのでしょうか。第三者評価についても、認定学科では32.8%、非認定学科では9.6%実施されている。認定学科では、第三者評価まで実施している学科が3分の1あることが一つの特徴であると思います。それから、14ページの様々な情報公開ですが、収支計算書の公表、自己評価・学校関係者評価の結果公表は、認定学科と非認定学科で大きな差があります。これは認定学科では、公表が義務付けられていますので、高くなっているのだと思います。

 以上です。

【今野副座長】 ありがとうございます。ほかによろしいでしょうか。

 それでは、沼田様、どうもありがとうございました。

(沼田主任研究員、退席)

【今野副座長】 それでは、資料5について、説明をお願いします。

【廣野専修学校教育振興室長】 残り、資料5を3種類、御用意してございます。こちらは30年度における事業の関係資料でございます。

 まず、資料5-1でございます。この会議の事業のベースにもなってございますが、職業実践専門課程等を通じた専修学校の質保証・向上の推進ということで、今回、この協力者会議で様々な議論を頂くということと、また、真ん中、2つ目でございますが、教職員の資質能力向上の推進ということで、研修体制づくりの推進、また、プログラムの構築を進めていきたいと考えてございます。マル3につきましては、職業実践専門課程等の充実に向けた取組の推進ということで、引き続き、職業実践専門課程の先進的な取組を進めていく上でのモデル開発というものを事業として進めていきたいということを考えてございます。また、実態調査につきましても、継続的に取り組む部分ということを考えてございまして、また、本日御議論、御指摘いただく内容も含めまして、この調査の中に反映させていきたいと考えているところでございます。

 資料5-2でございます。こちらは御紹介になりますが、昨年度の事業の中で、社会のニーズに応える効果的な情報発信の推進ということで取組を進めてまいりました。委員の先生方のお手元には冊子を御用意させていただいてございますが、専門学校のどういった学びができるのか、どういったキャリアプランが描けるのか、そういったことをイメージしやすいような情報媒体ということで、委託で開発を頂いたものをホームページでも閲覧できるようにさせていただいてございます。構成といたしましては、高等学校の進路指導の先生に見ていただくという観点と、高校生、また、これから進路選択を考える生徒に見ていただく観点ということで、整理を頂いたものでございます。また、こういった媒体も活用しながら、効果的な情報発信の在り方についても、引き続き検討を進めていきたいと考えてございます。

 その今年度の取組を推進する事業として、資料5-3を御用意させていただいてございます。取組の概要でございますが、1ポツが、先ほど申し上げました、情報発信の推進ということで、様々なステークホルダーを意識した効果的な情報集約・発信の在り方について検討・検証を行うということで、昨年度に引き続き、取組を進めていきたいと考えてございます。2ポツにつきましては、具体的な専修学校が持つ職業教育の機能を、実際に言葉、また、資料ではなく、体感することを通じて理解を推進していくことを取り組めないかということで、具体的なモデルを構築しながら進めていけないかということで、取組を進めていきたいと考えてございます。

 こうした専修学校の取組をどのような形で充実させ、それをどういうふうに発信していくのかということについて、引き続き今年度も取組を進めていきたいと考えてございます。

 以上でございます。

【今野副座長】 今年度の事業等についても御説明を頂きました。質問等はございますでしょうか。

 それでは、次の議題に移ります。まず、今後の職業実践専門課程の振興方策について、事務局より資料の説明をお願いします。

【廣野専修学校教育振興室長】 それでは、資料6に沿いまして、御説明させていただければと思います。これまでの資料の中でも、職業実践専門課程の現在の状況について御説明させていただきましたが、1枚目では、現在の位置付けということで、これまで職業実践専門課程がどういう位置付けで変遷してきたかということを示させていただいております。
発端は、平成23年1月にまとめられました中教審の「今後の学校におけるキャリア教育・職業教育の在り方について」の答申でございます。職業実践的な教育の新たな枠組みといったものを充実させていくという観点から、既存の高等教育機関、こちらが専門学校でございますけれども、新たな取組の枠組みを、趣旨を生かしていく方策として検討いただきまして、平成25年度から認定を開始したというのが職業実践専門課程でございます。平成29年5月には、こうした職業実践的な教育のための新たな枠組みとして、大学の枠組みの中で、専門職大学・短期大学の制度が創設されたところでございます。

 こうした動きを踏まえまして、28年度になりますけれども、これからの専修学校教育の振興の在り方について、様々な関係者の方にも御協力いただきながら、御審議を頂きました。その報告の中では、職業実践専門課程の位置付けとしまして、教育の高度化と改革を目指す専門学校の取組の枠組みとして位置付けるということを御提言いただいたところでございます。これまでに5回の認定を行ってきたということ、また、昨年度御紹介いたしましたが、フォローアップをスタートさせてきたということで、これに加えまして、先ほど資料4で御紹介いただきました実態調査、こうした蓄積というものが出てきたところでございます。

 2ページ目、おめくりいただきますと、先ほどの振興の在り方についての報告で、職業実践専門課程について御提言を頂いたところがございます。中長期的課題といたしまして御提言いただきましたのが、下線を引いてございますが、質保証・向上に向けて、特に企業等連携による取組内容の実質化を図っていくことが重要であるということでございます。その取組といたしまして、例示を頂いてございますが、学校自身による教育の質の点検・評価と改善に関する主体的な取組(内部質保証)がより有効に機能する方策を探る必要があるということを頂いてございます。また、併せまして、質保証・向上の観点から、学修成果をより意識した、専修学校の特色・強みを生かした、実効性のある第三者評価システムを構築していくことが望まれるということでございますので、こうした御提言を受けまして、今後の職業実践専門課程に関する主な検討課題というものが、以下の2点になろうかと受け止めているところでございます。企業等連携による取組内容の実質化を図っていくための様々な方策を検討するということと、第三者評価システムの検討と捉えてございます。

 これが、これまで御提言いただきました内容の振り返りでございますが、一方で、次をおめくりいただきますと、昨年末、29年12月に閣議決定されました、新しい経済政策パッケージの中では、高等教育の無償化の中で、専修学校につきましても、意欲さえあれば進学できる社会へと改革するという方向が打ち出されまして、支援の対象と位置付けられてございます。その下の方にございますが、支援措置の目的が、大学等での勉学が就職や起業等の職業に結び付くということで、格差の固定化を防ぐということ、そして、そこでしっかりと学んだ上で、社会で自立し、活躍できるようになることが、専修学校における教育にも求められてきているということがございます。そうした在り方の報告、提言を頂いた以降のこうした動きを踏まえまして、専修学校の取組内容の実質化というものをまた整理をし、取組を進めていく必要があると考えているところでございます。

 次ページをおめくりいただきますと、そこの論点、視点ということを提起させていただいてございます。 1つ目が、「取組内容の実質化」というものをどのような視点から捉えるべきかというところがあろうかと思っております。現行の職業実践専門課程につきましては、企業との密接な連携により、最新の実務の知識等を身に付けられるよう教育課程を編成し、より実践的な職業教育の質の確保に取り組む専門課程という位置付けでございます。そのための主な認定要件といたしまして、企業等との連携体制を構築して教育課程の編成をするということ、また、演習・実習等の実施をするということ、教員に対する組織的な研修を実施するということ、また、学校評価、情報公開を実施するということが設定されているところでございます。こうしたところに立ち返ったときに、「取組内容の実質化」の視点としては、企業等との連携状況、まさに要件で設定されている取組をしているかどうかというのは、審査の中で行ってきているところでございますが、1つ目、最新の実務の知識等を身に付けられるよう教育課程が編成されているのかどうか、2つ目、実践的な職業教育の質の確保に取り組めているのかどうかということを、「取組内容の実質化」として捉えていくことが必要ではないかということでございます。その際、先ほどの政策パッケージでもございましたように、そこで学んだ学生がどういう姿で世の中に出ていくのかという観点から、「学修成果」というものも意識して「取組内容の実質化」を考えていくことも必要ではないかということで提起をさせていただきまして、先生方の御意見、御知見で御助言を頂ければと思ってございます。

 5ページ目でございます。具体的な実質化を図っていく上で、どのような手法、アプローチがあるかというところでございます。現在の取組として、設計として考えられるものとして、3つ上げてございます。大臣認定の枠組みがございますので、そこでの認定要件・審査における観点といったものを見直していくということで、実質化を促すということがあろうかと思います。また、フォローアップの方法をどのように確立していくのかによって、また、そういった取組の手法として考えられるのではないかと思ってございます。また、認定の枠組みだけではなく、各学校における内部質保証の取組を充実させていただくということで、取組内容の実質化を図っていくという方向性もあろうかと考えてございます。現在、位置付けられております自己評価・学校関係者評価を実質化していくという観点、また、第三者評価をどのように位置付けていくのかということが、今後取り得る手法としてあるのではないかということでございます。また、その取組を情報発信していくということで、それを効果的にどのように行っていくというアプローチが、考えられるものとして上げさせていただいてございますが、先ほどの取組の実質化をどのように捉えられるのかを踏まえた今後の取組の手法として、どのような点に留意すべきかということについて、先生方からまた御意見、御指摘を頂ければと考えているところでございます。資料6についての御説明は以上でございます。

【今野副座長】 ありがとうございました。

意見交換に先立って、続きまして、職業実践専門課程の質保証の事例として、日本電子専門学校の古賀校長先生より、有識者ヒアリングを行いたいと思います。

(古賀校長、関係者席に移動)

【日本電子専門学校(古賀校長)】 皆さんこんにちは。日本電子の古賀と申します。どうかよろしくお願いいたします。

【今野副座長】 古賀先生には、お忙しい中、おいでいただきましてありがとうございます。どうぞよろしくお願いいたします。

【日本電子専門学校(古賀)】 それでは、資料7に沿って、本校の事例についてお話しさせていただきたいと思います。

 お話しいたします内容は、いきなり日本電子と言われても、どんな学校かというのを御存じない方もいらっしゃるかと思いますので、本当に簡単に学校の紹介をいたしまして、その後、職業実践専門課程の内部質保証で、本校の取組、全体の大枠の仕組みと、あと、具体的にある一つの学科、情報システム開発科を取り上げまして、過去に行ってきたことをお話しさせていただきます。その後、第三者評価への取組ということで、本校は、職業実践専門課程ができるずっと以前から、私立専門学校等評価研究機構が行っている第三者評価に取り組んでおりまして、そのことについてもお話しさせていただきます。

 2枚目のスライドで、本校の紹介ですが、本校は、「電子技術を核とした創造性豊かな技術者の育成を通して世界に貢献する」という建学の精神の下、1951年に創立いたしまして、今年で67年目の学校でございます。所在地は新宿でございまして、校舎が、そこにあるような号館がございまして、特にITを中心とした教育を行っておりますので、実習用のコンピューターが2,000台ぐらい、学校にございます。設置学科としては昼間部21学科、夜間部4学科で、教職員数は、そこにありますとおりでございます。 「日本電子専門学校」という名前なんですが、「日本」のところに違う、例えば「東京」とか「神戸」といった地名の付いた電子専門学校が全国に幾つかございますが、全て全く別の法人でございまして、地名の後に「電子専門学校」という学校名を付けたのが、本校が一番最初だと言われております。よろしくお願いします。

 3ページ目は、本校の組織図でございまして、学科が今現在、先ほど言いましたように、昼間部21、夜間部4学科ございまして、一番右側に並んでおりますが、そのうち、現在、昼間部の18学科が職業実践専門課程の認定を受けております。認定を受けられる要件のある昼間部は全て受けております。昨年度、この3月に完成年度を迎えた学科が2つございまして、それを今年申請する予定になっております。残りもう一つは、ちょっと先になりますが、認定要件がそろえば、申請する予定にしております。学校の組織図が書いてありますが、上の方に書いてあるのが、教育課程編成委員会でありまして、学校とは点線でつながっております。各学科ごとに教育課程編成委員会を設けて、毎年9月と3月、各学期の終わった後に行っております。それとは別に、独立した形で学校関係者評価委員会というのがございます。これが学校の組織でございます。

 最近の学校の話題としまして、平成28年度、これは文部科学省様の委託事業で、先ほど発表された三菱総研様が作られた、質保証・向上に関するガイドラインの中で、本校は事例1としまして、公正・正確な情報公開を行っている学校ということで事例を掲載させていただいております。大変光栄なことだと思っております。情報公開について、ガイドラインに沿ってといいましょうか、お手本どおりにやっているという学校でございます。

 もう一つ、最近の話題として、スライドの5に、先ほど資料5-2で紹介されました、『未来につながる専門学校』の第2部の中で、卒業生の紹介ということで、専門学校の卒業生4名が紹介されているうちの1名が本校の卒業生で、野島君という、卒業して10年ぐらいたつんですが、現在、SEとして頑張っていますという紹介がされております。そんなふうな学校だと思っていただければと思います。

 続きまして、職業実践専門課程の内部質保証についてでございまして、スライド6に写真が2つ載っておりますが、これは内容とは特に関係なくて、本校では学生たちがいろいろな大会やコンテストに挑戦しておりまして、そのことを、ちょっと空いているスペースがあったので載せておきました。学校の宣伝でございます。

 それでは、7ページ目、これが一番本題なのかもしれませんが、内部質保証といたしまして、そこに図がございます。実はこの図そのものは、大本は、たしか平成25年度に、職業実践専門課程の最初の認定をするに当たって、文科省様の方で示されたものに私が一部加筆したものでございます。出典を書かなければならないんですけど、そのときの資料がちょっと手元になくなっていまして、そこに書いていないんですが、ですから、大本の考え方は、文部科学省といいますか、恐らくこの協力者会議の方で検討された内容であったのではないかと思います。

 教育課程の編成、教員の研修、教育の実施、教育の質保証という枠がございまして、それぞれ、教育課程の編成では、教育課程編成委員会といったものを最低年2回、開催しなければならない。それで、本校では9月と3月に行っています。そこで出たいろいろな意見を基に、学科での検討がなされまして、ある方向性が打ち出されて、それを学校側が承認するといった形で、教育課程の編成を行っております。教育課程編成委員会の中で出てきた意見の中で、特に教員が新しい知識、スキルを身に付けなければならないようなことが出てきた場合に、それを基に教員の研修を行ったりということで、教員の研修の枠組みとなっております。ここで大きく、職業実務の卓越性に関する研修と、あと、本来の教員としての教育的研修という、本校では大きく2つのカテゴリーで行っております。最近、この研修に関することで出てきたものとしまして、本校ではゲーム制作の学科があるんですが、Unityというゲームエンジンが、この5年ぐらいの間に非常に業界では話題になっておりまして、当初、学校内では、Unityというものを教育課程に入れるべきかどうなのかといろいろ議論があったんですが、まさに教育課程編成委員会、ゲームの教育課程編成委員会で委員の方から、Unityというのは今後、開発の中心を担うべきものであるということを得まして、多くの教員たちがUnityの研修を受けに行ったようなことが最近ではありました。

 次に、教育の実施につきましては、教育課程編成委員会で出たものを基に、各学科での検討をいたしまして、それを学校側が承認して、教育課程、カリキュラムを変更して、その実施を行う。教育課程の方針に当たっては、この後、説明する学科もそうなんですが、例えば、平成26年度の2回目というと平成27年3月になるんですが、平成27年3月で出た教育課程の変更というか、編成の刷新につきましては、その次の4月から直ちにできるといったものじゃなくて、1年先になります。専門学校というのは、時代のニーズをいち早く捉えて教育に反映するということが一つの特性かもしれませんが、それでも1年先になるということで、例えば26年度で出たものは、実際に行われる一番近い年度といいますと、28年4月からといった形になっています。 そして、そういった教育課程の編成の変更ですとか、また、教育の実際の取組などを含めて、自己点検評価、また、学校関係者評価のところで実際行われてる状況について、自己点検の方ですと、自己点検を行いまして、それを基に、学校関係者評価の方で、その説明、そして、学校関係者評価の委員から評価を受けるといったことを行っております。

 大きな流れはこういったことなんですが、それだけではちょっと具体性に欠けるかと思いまして、なるべく分かりやすい例として、次のページに事例紹介として、情報システム開発科という学科について、この情報システム開発科は、平成26年度に行った教育課程編成委員会で、全体の30%に当たる教育課程の変更を行って、28年度に実施したことがございますので、それについて少しお話しさせていただきます。

 学科の概要といたしましては、そこにある目的で、情報システム開発企業と連携し、業界のニーズや最新の技術動向、プロジェクトマネジメントなどを学ばせることにより、実務に即したシステム開発の実装技術と全工程を管理する能力を持ったエンジニアを育成するというのが大きな育成人材像、目的になっております。工業分野でありまして、就業年限2年間、総時間1,770時間でありまして、講義と演習の比率はそんなふうになっております。就職先は、かなり大手のIT企業に就職させていただいております。今、2020年を目標に、ITのシステムを作り替えるといった企業は多くて、非常に仕事が多くありまして、就職率はすごく高く、なおかつ、すごく早く決まってしまうという学科でございます。

 9ページ目が、この学科で行っている職業実践専門課程のある意味、学生側でいう目玉だと思いますが、企業連携科目でございまして、卒業制作で企業連携科目としております。NECネクサソリューションズという会社が連携していただいておりまして、主に開発のプロジェクトマネジメントに関する部分の御指導を頂いているようなことでございます。開発の方は、Javaという言語を使ってシステム開発を行って、そのレビューを企業にしていただくといったことで取り組んでおります。NECネクサソリューションズ様には、本校の卒業生はかなり多くお世話になっているといったこともございます。先ほどのページとこのページは全て、職業実践専門課程の情報提供(様式4)に記述されているものの抜粋でございます。本校のホームページから見ることができます。

 具体的な事例として、平成26年度の第2回目の教育課程編成委員会について、少しお話しいたします。行われたのは、27年3月5日の2時から4時までといった時間になっております。委員の方は、そこにありますような委員の方々で、上の成井様と板見谷様が業界団体と言えると思います。そして、山本様と松島様が、実際のIT企業、エスアイヤーというんでしょうか、システム開発企業と言えると思います。学内の委員としては、校長、教育部長、教務部長、キャリアセンター長、教育部署長と呼ばれている者と学科長が出席しております。

 この回のときの議題は、スライド11ページにありますが、大体、毎回2つぐらいの議題を設定しております。教育課程編成委員会に臨む前の段階が非常に重要でありまして、学科と我々教育部署長との間で事前に、この教育課程編成委員会では、企業又は業界の皆様からどんな御意見を引き出すのかといったようなことを、かなり具体的に絞り込みます。そうしないと漠然とした話し合いになってしまって、なかなか教育課程の編成に反映させるようにできないんですね。ですので、かなり具体的に詰めておく、これが非常に大きなポイントだと私は考えております。この回のときの議題としましては、情報システム開発の学科ですので、プログラミング言語というのを勉強するんですが、履修言語として、11ページにあるような表の言語、全部で6つの言語を勉強しているんですね。私が以前から、2年間という限られた時間で余り多くの言語を勉強しても、入り口だけになってしまって深く勉強できないんじゃないかということを、かなり以前から学科長に指摘しておりまして、そのことについて、実際、企業の皆様に意見を聞きましょうということになったということでございます。

 CとかCOBOL、Visual Basic、JavaScript、PHP、Javaといった言語で、なぜそういう勉強をしているのかという目的が、そこにあるとおりでございます。実際、そういった投げ掛けを企業の方にいたしましたところ、企業の皆様から出た意見、これは議事録の抜粋で、これだけじゃないんですが、主な意見というふうに捉えていただいていいと思います。現在、開発現場で最も多く使われている言語はJavaであろう。これは業界の委員の方皆様が一致した意見で、Javaという言語が非常に大事なというか、中心的な開発の言語であろうと。C言語が、実はJavaが出る前から、非常に伝統のある言語なんですけど、C言語はプログラミングを学習する上では一番基本になるんじゃないかと。だから、これはちょっと外せないんじゃないかという意見がございました。それ以外に、ある委員の会社では、プログラム未経験者、これは、文科系大学生の方々というのは、特にプログラミングの勉強をしていない方々もIT業界に入ってきます。そういった新入社員向けに、その会社のカリキュラムを作成しているんですが、そこで使う言語はRubyを使っているとおっしゃっておられて、これは今、この学科でやっていない言語として、こういうのもあるんじゃないですかという意見も出ました。あと、実際、システム開発の業務では、Visual BasicやRubyは余り使われていない。Rubyでやっているという人と違う委員の方が、Visual BasicやRubyは余り使っていないんですよという意見をおっしゃっている。やっぱり大規模な案件だとJavaでしょうと。COBOLという、非常に古い言語もあるんですが、これも、実はレガシーのシステムで、まだニーズがあるんじゃないかと。そういった言語に対するいろいろな意見が出て、なおかつ、そういった言語もですけど、アジャイル設計というのが最近非常に台頭してきまして、それについても少し勉強した方がいいんじゃないですかという意見が出ました。

 それを、その場でどうと決定するのではなくて、持ち帰りまして、学科の方で検討いたしました。そして、そこで出た、ある意味、方向性としては、Visual Basicについてはどうもニーズが低いようだということで、教育課程から外していいんじゃないかと。Visual Basicという言語は、前のページにもあるんですが、イベントドリブン型の言語、ちょっと分かりにくいかもしれませんけど、ちょっとしたアプリケーションを作るのにはすごくいい言語、やりやすい言語で、マイクロソフトが作った言語なんですが、なかなか本当の意味での基幹システム、企業のシステムを作るのには、それほど向いている言語ではない。 ただ、今のWindowsのOSが出た当時から、プログラムを作るときによく使われていた言語ということで、長きにわたって本校でもやってきたんですが、それはもういいんじゃないかということで、その分、やっぱりJavaの時間を増やして、深く勉強した方がいいんじゃないだろうかということと、もう一つ、新しい設計手法についても学生たちに教えるべきじゃないかということが、学科の方の意見としてまとめられました。

 スライドでいくと、話のつながりからいうと、14ページ目をちょっとご覧いただきたいんですが、「平成28年度」と書いてあるのが、26年度の教育課程編成委員会を受けて、変えた部分です。総時間1,770時間のうち540時間分を刷新した。それまでの教育課程がどうだったかというと、「平成26年度」に書いてある科目でございまして、一見してもなかなかお分かりにくいかと思いますが、Java基礎、Java応用というのが、26年度のところの120時間と90時間で、150時間の60時間ですから、総時間は同じです。Java基礎とJava応用の総時間は同じなんですが、サーバサイドJavaという科目が、以前は、「サーバサイドプログラミング」と書かれておりまして、ここで、この時間分、全てではないんですが、Visual Basicでやっている部分があった。それをJavaに特化したということが1つ。あと、オブジェクト指向設計で、これが26年度まで30時間だったのを、Javaを使ってオブジェクト指向の演習までやろうということで、時間を60時間に、倍にしたというのがございます。

 もう一つ、これは専門学校らしい学科名なのかもしれませんが、資格対策言語講座2というのを新たに設けまして、これは、以前はJavaというのは、サン・マイクロシステムズという会社が開発した言語だったんですけど、サン・マイクロシステムズがオラクルに買収されまして、今ではオラクルJavaと呼んでいるんですが、オラクルJavaの資格を取るための時間として、30時間設けた。それと、先端IT技術という科目を設けまして、この中に、新しい設計手法などを勉強するという形で、教育課程を刷新いたしました。ですから、26年度まであった情報数学は、2進数のことについて一生懸命やっていたんですけど、それはほかの科目の中でも十分補えるでしょうといったことで、それに吸収した。あと、Windowsアプリケーション、これがまさにVisual Basicの時間だったんですが、それは基本的にやめましたということと、あと、システム開発概論も、ほかの科目の中で吸収しましょうと。あと、データベースプログラミング、これもVisual Basicを使ってやっていたんですが、そこの部分は違うものに変えましょうといったことで、28年度のような形で教育課程を改訂しましたといったことでございます。

 この改訂について、次の15ページのスライドで、学校関係者評価の第1回目、7月7日に行われたんですが、この学校関係者評価が、本校の場合ですと、委員の方が、そこにあるような企業の方、業界団体の方、卒業生の方、合計で26名の方がいらっしゃるんですが、全体会と分科会という2部構成になっておりまして、全体会の方は、前年の自己点検評価のことについて学校側から説明をしまして、その自己評価についての評価を学校関係者評価委員会の方にしていただくという、学校全体の評価と、あと、分科会の方は、分野、学科に分かれまして、その分野の状況について学校側から説明をいたしまして、それについて意見を伺うというふうな2部構成になっています。分科会の方は、もちろんその分野の企業の方、業界団体の方が出ていただくという形になっています。

 平成27年の1回目の7月7日にやった学校関係者評価では、次の16ページ目のスライドで、情報システム開発科の学校関係者評価の分科会が行われました。出られている委員の方々は、そこに名を連ねているような方々でございまして、ここで中心になったのは、学校側は情報システム開発科の学科長でございます。教育課程の改定について、学科の方から説明いたしまして、委員の方々から、やはりJavaを使った案件が非常に多いんじゃないでしょうかと。ですが、マイクロソフトの需要もあるんですよということで、C#やVisual Basicの案件もまだ実は残っているんですというお話を頂きました。ただ、エンタープライズというか、いわゆるエスアイヤーとしての仕事をするのであれば、Visual BasicよりもやっぱりJavaの方が重要じゃないでしょうかといったことで、ある意味、教育課程編成委員会で出て、それを学科側で検討した結果を支持していただくような会になりました。そういったことを受けまして、先ほど御説明したような形で、平成28年度より改定した教育課程で教育を行いました。2年間の学科ですので、28年、29年だから、昨年3月に、改定を受けた後の第1回目の卒業生が出ていることになっております。

 ちょっとスライドを戻りまして、13ページの「教員の研修」についてですが、ここでの研修は、実は、先ほどの教育課程の編成の主なプログラミングに関する意見は、Visual Basicをやめるということだったので、それを受けた形での研修は特に、今までやっていたのをやめることだったので、それを受けた形での研修ではなくて、それぞれが今、必要であろうと思われる研修を受けております。エンタープライズJavaScriptみたいなものは、ウエブシステムを作る上で非常に重要でありますので、そういった研修を受けている。あと、教育的な研修としては、そこにあるような魅力的な教員とか、失敗しない学校苦情・クレーム対応とか、なかなか保護者の方々の厳しい御意見がよくありますので、その対応とか、そういった研修を受けているということでございます。

 先ほどの内部質保証の4つの枠組みに関することとしましては、大体以上のような取組を行っているということでございまして、職業実践専門課程の認定を受けるということに当たって、こういった枠組みで取り組みましょうという、学内的な統一したコンセンサスがすごく取れて、以前からも企業の方々の意見を伺ったりする機会はあったんですけど、必ず半年に1回はそういうものをやるんだ、又はその後、結果を学校関係者評価に出すんだといった、ある意味、枠組みはなかったわけですので、そういった意味では、教育の質の保証に貢献しているのではないかなと私は感じております。

 今お話ししたものは、情報システム開発科という、ある1つの学科についてのことなんですが、これが18学科、また、これから認定を受ける2つを入れますと、20学科について、学校の方では1つ1つ取り組んでおりまして、私も全ての教育課程編成委員会に出席するようにしております。先ほども言いましたように、1つ1つの教育課程編成委員会を実施する前に、何をそのときのメーンの議題にするんだといったことをしっかりと見極めてというか、話を詰めて臨むといったことを心掛けております。

 以上が内部質保証のところについてでありますが、簡単に、第三者評価についてもお話しさせていただきたいと思います。本校は、第三者評価について、実は2007年から取り組んでおります。18枚目のスライドは、職業実践専門課程の内部質保証と第三者評価ということで、文部科学省様の方で作られたスライドなんですが、このモデルと必ずしもぴったり合っているというふうには私は思っていなくて、というのは、ずっと以前から第三者評価を受けているのは、東京都の専修学校各種学校協会が、たしか2004年頃だったと思いますが、私立専門学校等評価研究機構というのを立ち上げまして、職業実践専門課程とは独立した形で、第三者評価を始めましょうということで始めたものに、我々がそれを受けたといったことでございますので、必ずしも、かなり内部質保証と第三者評価が密接な関係を示しているような形で、18ページ目のスライドはできていますが、そういったところにはなっていないというのが本校の現状だと思います。

 19ページ目のスライドに、本校の「学校評価のあゆみ」ということで、平成17年に東京都専修学校各種学校協会が、専門学校の自己点検・自己評価の項目を作りましょうという委員会がございまして、その委員会に、私の前の校長であったサイトウという者が入っておりまして、そこで、皆様よく御存じだと思いますけど、滋慶学園の関口先生とともに、そういったものをやっていきましょうといったことになったわけでございます。平成18年に、モデル評価という試行的に行われた第三者評価を本校が受けまして、その後、平成19年に、本当のというんでしょうか、まず最初の、第1回目の私立専門学校等評価研究機構が行った第三者評価を受けたといったことでございます。このあたりから本校は毎年、自己評価を行っておりまして、それを公開してきました。これは5年に1回ということですので、19年に受けて、その後、24年に第2回目を受けまして、25年に、職業実践専門課程の申請に当たって、学校関係者評価を始めた。だから、学校関係者評価よりも前から第三者評価を受けていることになっております。つい昨年、24年の5年後ですから、29年度が第3回目の第三者評価でございまして、まさにきょう、協会の方から、第三者評価を終わりましたという認定証を頂きました。

 第三者評価を行ったことについては、もちろん学校としては、それをいろいろなところに活用していきたいわけですので、20枚目のスライドに、最初に受けたとき、パンフレットを作りまして、これは広報部が作ったんですけど、広報部が使って、いろいろなところにこれを活用したといったことでございます。

 21枚目のスライドは、本校では毎年夏に、高校の先生方150人ぐらいに集まっていただきまして、いろいろな研修会を行っているんですが、平成22年夏に行ったときに、第三者評価について御説明いたしまして、どんなものでしょうかといったような、そのときのアンケートを取りまして、その結果でございます。第三者評価を受けることは、その学校の信頼につながると思いますかということで、「大変そう思う」、「そう思う」という方が、非常に多く答えていただいた。専門学校も積極的に第三者評価を受けるべきだと思いますかということに対して、「大変そう思う」、「そう思う」と、これで、「そう思わない」と書く人は多分いないと思うんですけど、非常に多くの方が書いてくれた。あと、自由意見も、これは抜粋でございまして、一都三県の方々それぞれいらしたんですけど、一番最初の方がすごく専門学校のことをよく知っているなと思いますね。専門学校は広告が派手なところも多く、生徒はそれにつられるけれども、実際は学費が高かったり、いろいろ問題が多いようである。客観的な評価基準があると、生徒はもちろん、保護者や教員にとってもありがたいと思うという、本当に素直な意見だなと思います。その他の方々も、どちらかというと、やってほしいという御意見を頂きました。

 22ページは、そのとき、これは今も同じだと思いますけど、第三者評価の流れでございまして、私立専門学校等評価研究機構が、大学で行われてる認証評価をお手本にこういった流れを作ったということでございます。23ページ目のスライドが自己評価報告書の作成でありまして、現在37項目、以前は47項目あって、5年間の間に10項目減ったというか、統合されて、大分これはやりやすくなったんじゃないかなと私は思っております。24枚目のスライドがその第三者評価の項目でありまして、私立専門学校等評価研究機構の第三者評価は、いわゆる機関評価と言われております。分野別とか成果評価ではなくて、機関評価でありまして、学校全体がちゃんとした体を成しているのかといったことが評価の対象になっています。ここでは、学修成果については、就職率、資格・免許の取得率、卒業生の社会的評価という3つが出されておりまして、就職率とか資格の取得率というのは、卒業時の際のところで、必ずしも学修成果というか、アウトプット的な色彩の強いものだなと私は思っております。それと、その次の卒業生の社会的評価、これは卒業生調査のことについてだと思いますが、これが、私はまさにアウトカムというか、学修成果だなと。ですので、学修成果をどう規定するのかというのは、なかなか卒業の際のところでというのは難しいなと私は思っております。なおかつ、これは隣に座っておられる、吉本先生がいらっしゃるので、私が言うのもなんですけど、職業教育の成果評価というと、やっぱり出口側の、社会の方というか、産業界の側とのコンセンサスが取れたものでないと、なかなか成果と言えないんじゃないかなということを私は感じております。

 25ページ目のスライドが情報公開に関することでありまして、本校は、文科省様が作られたガイドラインの事例で紹介していただいているように、情報公開に関しましては、包み隠さず情報公開するといったことを旨としております。まだいろいろ改善する余地はたくさんあると思っておりますが、そういったことをやっております。その中で、第三者評価については、第三者評価報告書が評価機構の方から送られてきますので、それをPDFの形で載せております。第三者評価について取り組んで10年がたったわけですけど、いろいろな他の学校の方々から、取り組んでいると何かいいことありますかということをよく聞かれますが、10年たってやっと、じわじわとその効果が出てきたかなと本当に最近ひしひしと感じておりまして、高校の先生方から大変信頼を頂いていると思っております。

 私、校長になって11年目なんですけど、校長になりたての頃は、高校の先生方から、専門学校はよく分からないという御指摘をよく頂いたんですが、さすがに今、私に対してそういうことを言う人はいなくなったなという感じがしております。もちろん質保証の一環ではありますが、ステークホルダーからの信頼獲得、特に高校の先生ですとか入学者の方々ですね。あと、募集広報的な活用ということで、広報部がいろいろなところに使っているということでございます。

 すみません、時間を大分オーバーしちゃったのかもしれませんが、以上でございます。御清聴ありがとうございました。

【今野副座長】 ありがとうございました。大変貴重なお話を頂きました。専門学校での実際の内部質保証の活動の様子、それから、第三者評価も含めてお話を頂きました。特に産業界が入った教育課程編成委員会の議論から、ダイナミックな教育課程、カリキュラムの変更があったり、おもしろい話でした。そのためには、前段階で、学校側でよく準備をして、何を引き出すか、テーマをはっきり決めて、そして委員会をしてもらう。これも非常に有益なポイントだったかなと思いました。

 ほかの先生方からも、少し時間がありますので、質疑応答をさせていただければと思いますけれども、いかがですか。

 どうぞ、吉本先生。

【吉本委員】 大変興味深い、おもしろい、また、充実した取組をされていると思って聞いていましたけれども、特に、カリキュラムの改訂に教育課程編成委員会、それから、学校関係者評価の委員会が機能したというふうに言っていいと思うんですけれども、ある意味で、こういう言い方はどうなのかなと思いますけれども、日本電子はよくなったけれども、ほかのIT系の学校への波及効果というか、うまくいっているのかなというのが問いなんですね。というのは、例えば教育課程の改訂というのが、スライドの14というところですけれども、この改訂は、例えば、Visual Basicがスタンダードであるかどうか、それから、Javaに替えるかどうかという議論は、多くの学校が取り組んでいることなのか、それをどこかで共有する議論があるのか、もともと学校で考えていたことに、教育課程編成委員のお一人が、学校がやっているんだから、それはいいねと言って、助け船を出しただけのことなのか、あるいは、そういうことが、ITの専門学校なら専門学校でいいんですけれども、関係者にどうフィードバックされるのかと。つまり、学修成果というのを学校が単独に考えているのか、何か共通のものがあって、それの大きな移動を捉まえて、こういうふうにカリキュラムを変えたという、その辺の関係がうまく見えるのかどうか、ちょっとお聞きしたいなと。つまり、学修成果にフォーカスしているという意味で、それはスタンダードを作ることに寄与するんだろうか、どうなんだろうかと。先ほどおっしゃられた、〇〇電子専門学校がたくさんあるという意味では、まさに第三者評価を受けているのは先生のところだけだろうと思うので、だから、これが波及していくようなサイクルを持っているのかどうか、その辺を含めて、ちょっと教えていただければと。

【日本電子専門学校(古賀校長)】 大変難しい御質問だなと思うんですけど、2年間の、いわゆるITの開発系の専門学校の仕上がり度合いのスタンダードというと、私は、経済産業省の、IPAのというんですか、ITSSのレベル2だと思うんですね。レベル2で、そこで規定されている中身というのは、実は専門学校の2年間の1,700時間以上、約1,800時間よりも随分凝縮された中身でできて、それだけでは物足りないというんでしょうか、もったいないので、それにいろいろなものをいろいろな学校の独自の工夫で付加していて、学校の特色を出しているというのが現状だと思います。これは岡本先生の方が全然詳しいかもしれませんけど、Visual Basicというのを今でも日本電子はやっていたのみたいな感想をむしろお持ちかなと思ったりもするんですけど、Visual BasicをプロフェッショナルのITエンジニアでしっかり教えるというのは、私から見てもちょっと時代後れな感じがしていて、それを、ちょっと変な言い方かもしれませんけど、現場の先生方に納得させるという効果も、教育課程編成委員会にはあったかなと思っております。そのほかの学校への普及効果ということになると、公式な場でのカリキュラムを発表し合うという場がないので、しっかりは行われていないと思うんですけど、それでも、専門学校の団体で情報教育協会があって、そこで、研修委員会等でいろいろカリキュラムについて話し合ったりしますので、ここでのこれについて、直接何かというのは特にないですけど、大きな枠組みとしては、専門学校全体、専門学校のIT教育全体に対するいろいろな取組はなされていると言えると思います。

【吉本委員】 ちょっと続けていいですか。スタンダードはなかなか難しいところで、スタンダードは一番ベースのところで、あとは学校がいろいろな試みをやっているということなんですけれども、学校がどうしてそんなに古かったのか、というのは、イノベーションのサイクルがなかったというのは、まさに学校関係者評価とか教育課程編成委員会がなかったからということでもあるんでしょうか。だから、そういうものを使うのがちょうどよかったと。実際に、ここで改めて、サイバーセキュリティーというのは、一緒に行ったオーストラリアのトレーニングパッケージでも、実はごく最近入ったというような形で、そういう標準を変えていくサイクルさえあれば、先生たちも少し納得できる。たまたま学校の先生や外部の産業の人が言わなくても、何かそういうスタンダードがあれば、そこを基に作っておいて、そこを基に、外部のステークホルダーの人も、学校関係者の人も、そこをベンチマークにして話ができるということじゃないかと思うんですけど、ちょっと僕の理解が、どうでしょうか。

【日本電子専門学校(古賀校長)】 時代がどんどん、特にITの世界は技術革新が激しいので、そういったことをどんどん新しくしていかなければいけないというのは、そのとおりですし、その方向でやっているんですが、ちょっとこれは、私がここで言っていいのか分からないんですけど、教員側の心理として、1つの科目をしっかり中身を、シラバスを作って、教材も作ってとやっていくと、当分それでやっていきたいという心理があって、新しいものを作るというか、新しくやるというのはそれなりに準備も、エネルギーも要るわけで、そういったことに関して、企業の側というか、外からの外圧でそれを変えていってもらうということには、すごく教育課程編成委員会というのは寄与しているなと思います。

【今野副座長】 そのほか。小杉委員、どうぞ。

【小杉委員】 大変有益なお話、ありがとうございました。私がお聞きしたいのは、吉本先生よりももっと下のレベルで、今年、もう既に新しいプログラムになってから、卒業生が出ていますね。その卒業生に対する社会的評価といいますか、それはどうだったのか、それは実感できるようなものだったのかどうかということを1つお聞きしたい。

 それから、評価を見るというのは今、あちこちで言われていて、私たちもいろいろな評価をされるんですが、評価疲れってありますよね。今回、47から37に減った。それも評価疲れの結果だと思うんですけれども、どうでしょうか、この項目でやり続けられるのか、もっと合理化する必要があるのかどうか、あるいは、学校関係者評価の中にいろいろな方が入っていて、例えば地域住民とか、そういう方の意見というのは一体どこまで取り入れるようなものなのか、その評価の仕組みと、評価に入る方はどういう方を入れるかという話、評価の仕組みというのが、これで、ある意味で完成形なのか、あるいは、かなり直さなければならないところがあると感じていらっしゃるのか、2つ目がそれです。

 3つ目は、今のお話にも出てきましたが、大学改革なんかでも、結局、教員が最終的に変わらなければ、授業が変わらないという中で、これだけ変えられた。外の評価が一つの外圧みたいになったというお話もあったんですけれども、それ以外に、何か仕組みとして、教員がみずから変えなければならない、変えなければ給与が出ないとかいう話じゃないんですけど、何らかの形で、仕組みとして、教員がみずから変えていける、何かそういう自治管理上の仕組みとかそういうものも併せて行ったのかどうかについて、以上、3つなんですが、お願いします。

【日本電子専門学校(古賀校長)】 最初の質問の、新しい課程になった卒業生の評価がどうであるかといったところなんですが、就職率とかでいいますと、以前よりずっとあれなので、そこはほとんど変わっていなくて、今、入って1年間たったんだろうと思うんですが、やっぱりこれも、ちゃんと卒業生調査なり、行った企業でのヒアリングなりをしていないと、はっきりしたことは分からないということで、まだちょっとそこまで把握し切れていないというのが正直なところでございます。ただ、それはやりたいと思っています。せっかく変えたので、うまくやっているのかということですね。

 あと、評価の方なんですけど、第三者評価、昨年3回目を受けたときにも、やっぱり本校はある程度の規模のある学校ではあるんですが、大学みたいに、そういったセクションを作るということはできなくて、それぞれのやっている部署が、その年はそれも一緒にやるということで、かなり負荷は高いです。できればもっと簡易な何かができれば、本当にいいなと思っています。ただ、やるのは評価機構の方でありますので、大変さを伝えることはできますけど、なかなか、ではどうしようというということにならなくて、何かうまい方法があれば、それにこしたことはないでしょうし、今後、専修学校における第三者評価はどうなっていくのか、これは皆様方が検討されるんだと思いますけど、正直申しまして、認定を受けた約1,000校の学校が、みんなが我々がやっているような形のものができるとはちょっと考えにくいなという気がします。

 本校は、いろいろなところで私、事例紹介させていただくんですけど、それはあなたのところぐらいの規模があるからですよみたいな感じのことをよく言われるんですね。多分、それはそうなんだと思います。ですから、御存じのように2,800校あって、60万人の学生がいるというと、大体1校当たり200人しかいないということですね、平均で。もっと少ないところもいっぱいあるわけで、それからすると、そういったことをやるのに、なかなか体力がない、難しいんじゃないかなと。だから、何か簡易的な方法ができれば、それにこしたことはないだろうという気はいたしております。あと、教員に関して言うと、これは本校の人事考課に関しまして、同じ科目をずっとやっている人と新しい科目をどんどんやっている人とでは、評価の配点が違っていまして、新しい科目をどんどん精力的にやっていく方、又は教材をどんどん作っていく方というのはおのずと高い評価になっています。昔から同じことをずっとやっている人は、余り評価が上がらない。それはちゃんと説明していますので、若い人たちは頑張ってどんどんやって、なかなか年取ってくると、もういいかなみたいになって、そういうところが正直な話であります。

【小杉委員】 ありがとうございます。

【今野副座長】 ありがとうございました。本当に貴重なお話を聞けたと思います。時間の関係もありますので、有識者ヒアリングを終了したいと思います。

 古賀先生、どうもありがとうございました。

【日本電子専門学校(古賀校長)】 どうもありがとうございました。

(古賀校長、退席)

【今野副座長】 それでは、きょうの本題の一つでございますけれども、事務局のこれまでの説明、それから、今のヒアリングを踏まえて、職業実践専門課程の振興について、特に実質化をどう担保していくのかということについて、先ほどの説明を頂きました資料6を基に、各委員の方から御意見を頂きたいと思います。いかがでしょうか。寺田先生と岡本先生は実態調査の方で委員をやっていただいております。その関係で、こういう実質化について課題があるよとか、実態はこういうふうになっているよ、こうした方がいいんじゃないかというようなことも含めて、何か御意見を頂ければと思いますが、いかがでしょうか。

 寺田先生から、お願いします。

【寺田委員】 いろいろなところで同じようなことを言うんですけれども、2点、この辺はどうかなというのがあるんです。1つは、資料6に即して言いますと、3ページの現行の考え方の下の主な認定要件、この認定要件の実質化というのが大事じゃないかなという気がしています。先ほども日本電子専門学校から、すごく詳しい取組を報告いただいたんですが、連携型の事業に、卒業研究でしたか、取り組んでおられるということは分かったんですけれども、ただ、職業実践専門課程の認定要件の中に、質的な点での項目というのは提示されているんですが、量的な目安というのがないので、これは以前から言っていることなんですが、この点はどうなんだろうかということですね。社会人のBP型のものに関しては、50%ぐらいが、言葉遣いはちょっと正確ではないかもしれませんが、連携型の授業、実習関連でしょうか、ちょっと範囲が広くて、実務教育といった場合、現場での教育の問題というのがやっぱり核になるので、そこを含めて、ある程度の目安があった方が、例えば、新しくできる専門職大学、短期大学等との接続性ということも考えやすいのではないかなという気がしています。実質化についてはそういうことですね。

 もう一つ、これも実質化ですが、教育課程編成委員会の、日本電子専門学校からも詳しく報告を頂きましたけれども、質問しようと思ったんですが、第1回でそういう合意を取って、それで、当然やられたと思うんですが、その提案がこういう形で実現しましたということをきちっと報告をされていると思うんですが、全体として、やはりそういうことをある程度義務付けないと、聞きっ放しになることがあるので、かつ、その上で、実際にカリキュラムを変えて、連携型、企業の方からの提案を受けて、変えて、それがよかったとか、効果があったとか、こういうところまでやっぱり検証したいなと思います。少なくとも、意見を聞いて、それで終わりというのは実質化に至らないので、そこの点での、ややタイトになるかもしれませんが、必要ではないかなというので、これは以前から思っております。とりあえず、この2つです。

【今野副座長】 ありがとうございます。

 では、岡本先生。

【岡本委員】 それでは、資料6の問題意識、2ページで、「これからの専修学校教育の振興のあり方について(報告)」、平成29年3月の中長期的課題というところで、中段以降で、「また」というところから、第三者評価の方向性、考え方が示されていると思うんですね。「学校における内部質保証を前提としたものとするとともに、学修成果をより意識した、専修学校の特色・強みを生かした、実効性のある第三者評価システムを構築していくことが望まれる」と。私も全くそのとおりだと思いまして、専門学校関係者にもいろいろお話を聞くと、やっぱり自己評価はともかく、学校関係者評価と第三者評価が大分ハードルが高いから、うちはまだまだという声が一方ではあるんです。特に第三者評価は、まだ職業実践専門課程の要件になっていないということで、先進的な、先ほどの日本電子さん等々、まだまだ少数にとどまっているんですが、実は平成28年度、私ども、文部科学省の委託事業で第三者評価の先進的取組ということを受託させていただきまして、隣にいらっしゃる川口先生の御指導を受けながら、私も実際、大阪のある専門学校と沖縄のある専門学校、評価者としてではないんですけど、実施委員長という立場でつぶさに、1泊2日でそれぞれ第三者評価を見てきました。私の感想では、時間が長くなっちゃうので短く言いますと、やはり自己評価をしっかりやって、そして、第三者評価の基準に照らして、評価者と学校側と文書によるやりとりといいますか、そういう学修成果も含めた事実の確認をしっかりやって、問題点とか、課題とか、当日実施調査において、ヒアリングにおいて確認すべきことがより明確になった上で、在校生とか、教職員とか、あるいは卒業生とかというのを、ヒアリングを実施するとかそういうことが、第三者評価においては、当日以前の取組が非常に大事なんだなと感じました。せっかく自己評価、学校関係者評価は義務化されて、非常に増えてきましたので、決して、第三者評価まではハードルが高過ぎてできないということではないと思いますので、この取組を進めていく必要があるかなと。ただ、その場合、職業実践専門課程の認定要件に今なっておりませんので、これを新たにどういう形で付け加えるのか、奨励して誘導していくのか、あるいは、認定基準に告知期間を置いて、いきなりはできないにしても、2年後は認定基準にしますよとかそういうふうにするのか、この辺も是非、文科省にもお考えいただいて、私はそろそろ機が熟してきたかなという、方向性を指し示していただくべきかなと思っています。

 それから、先ほどちょっと日本電子さんの発表で、非常にすばらしい取組をされて、古賀校長をはじめ、本当に敬意を表したいと思うんですけれども、平成20年度で第三者評価をやった学校は、本当にまだまだ初期の段階で、それを全部クリアしたのは日本一だということであったんですけれども、今現在は、相当の学校がいろいろ先進的に取り組んでもおりますので、多分、今現在のホームページでも日本一というふうに書かれているとすると、いや、そんなことないんじゃないかなと。第三者評価もいろいろな形で取組をされている学校が増えてきていますので、ですから、その辺をちょっと、文部科学省の調査も含めて、今、どのぐらいの学校が取り組んでいるのか、第三者評価機関もいろいろありますので、客観的な取組の学校数とか、あるいは、第三者評価を行っている機関とか、これは専門学校に限りますけれども、その辺の情報も出していただけると、今後の専門学校における第三者評価というのが、方向性が見えてくるんじゃないかなと、こういう要望も含めた意見でございます。

【今野副座長】 ありがとうございます。そのほか、いかがでしょうか。

 どうぞ、小杉委員。

【小杉委員】 寺田先生の意見と重なってしまうんですけど、やっぱりPDCAがちゃんと回っているということが大事なので、学校関係者評価とかいろいろな評価、評価は評価で終わるんじゃなくて、それがアクションにつながらなければどうしようもないので、今年の先進取組の推進など、モデル開発というようなこともやられるようですから、チェックからアクションにつながったという事例をきちんと公表して、特にそこを前面に出していただきたいなと思います。 やっぱり今の段階だと、まだアクションに本当につながったかどうかは、なかなかいろいろな調査をやっても捉えていないので、それをまた何らかの、ペーパーの上で捉えるのは難しいので、まず、モデルというような形で、アクションにうまくつながって、そのアクションにつながるためには何が必要だったかみたいな話を明らかにしていただければいいなと思います。

 以上です。

【今野副座長】 ありがとうございます。

 どうぞ、清水委員。

【清水委員】 私は違った角度で、お話しさせていただきます。本日の資料6の5ページに、「取組の実質化」の手法が3つ書かれていますが、大臣認定の枠組みの見直し、内部保証の充実、情報発信の効果的な手法と徹底という中で、私は、情報発信の効果的な手法と徹底お話しします。実際に専修学校を運営していて、いつも思うことがあります。42年の歴史の中で、専修学校制度の名称が置き去りにされているというのを感じています。専門士、高度専門士、また特に、私は高等専修学校を運営しておりますので、高等専修学校という学種、大学入学資格付与指定という言葉が、なかなか一般国民の方にいまだ知られていないという現実があります。ですから、この点についての手法徹底というのが、私は一番ではないかと思います。職業実践専門課程の、しっかりとした仕組みを作り、内部保証をして、中身を充実させても、一般国民が知らなければ、利用する人たちはいないわけで、価値も上がっていかないと思います。

 大学入学資格付与指定は、昭和62年にできた制度です。しかし、私たち全国の高等専修学校の教員は、中学校の先生、また、生徒、保護者に、高等専修学校について、大学入学資格付与指定について、毎年同じ話をしています。42年たっても、毎年やっています。ですから、職業実践専門課程についても、最初からここに力点を置いておかないと、高等専修学校のようになってしまうのではないかと危惧しています。法律用語で言うと、指定というのは認定より強いと書いてありました。しかし、指定でもこれだけ時間が掛かっているわけですから、認定だと、もっと時間が掛かってしまうのではないかと感じます。

 昨年度、東専各では、広告代理店との情報交換会をやっております。全部で12社の広告代理店と東専各の役員で情報交換をしたときに、山中会長から12の広告代理店に、職業実践専門課程についてしっかりと広報していただきたいという話を、まとめの中で言っておりました。 ですから、文部科学省のホームページに記載をする、また、いろいろなツールを使って広報していくというところにも力点を置かなければいけません。また、これは何回かお話をしていますが、もっと根本的なところで、高校の先生、中学校の先生は、いまだ専修学校制度について分からない先生がたくさんいるわけですから、教職課程の中でもしっかり履修科目にして、専修学校制度を学んでほしいし、その中で、高等専修学校や職業実践専門課程についてしっかり学んだ上で現場に立ってほしいと思います。そして、今度は新任研修、10年研修といった現職の研修のカリキュラムに入れていただいたり、10年に一度の免許更新の中にも入れていただいたりという工夫をしていかないと、なかなか根付いていかないのではと思っています。

 それと、最後に、これはなかなか皆さん、専修学校の先生方は言いにくいと思いますので、あえて私から、内部保証の充実ということについては、全くその支援策は全国統一されていません。職業実践専門課程で補助金が出ているのは、東京を入れて8地域しかありません。これはやっぱり学校教育法の第1条ではないからで、あくまでも地方自治法に基づく独自の制度でしか、いまだ担保されていない。この辺も解決していかなければ、私は、できないのかなと。

 最後に、職業実践専門課程の周知徹底を図るときに、是非、高等専修学校の周知徹底と、社会的認知の向上も一緒にやっていただけたらと思います。すみません、長くなりました。

【今野副座長】 大分時間がなくなってきましたけど、前鼻委員、お願いします。

【前鼻委員】 以前からこの会議で、職業実践専門課程が専修学校の設置基準上の最低ラインだというスタンスは変わっておりません。ですので、どんどん推進していっていただきたいということがありまして、ですが、それを実施していく上で非常に重要なのが、各学校の規模観と組織の在り方になってくると思います。

 古賀先生の資料の中に、さらっと先生は述べられたんですが、10ページに、教育課程編成委員会の学内委員の肩書が書いてあります。それを基に、13ページに、26年度の「教員の研修」が、2種類の研修内容が書かれております。やはり大きいというのはよく分かる話で、私などもそうなんですが、ここに教育部、教務部、キャリアセンターというような3つの部署を設けているがゆえに、実務卓越性研修と教育的研修という2種類の研修というのが遂行される組織になっているわけでして、多くの、先ほど来からありますように、3分の2以上が、200人、300人の小さな組織単位において、この組織体を編成しながら、こういう2種類の研修を1年間の中でやっていくというのは、ほとんど難しい話です。ですから、予算的規模、組織的な規模に対して、これをどういうふうに多くの中小の専門学校が実施できるのかというようなことを、これも一緒に議論していかなければいけない。先ほどのお金の話もそうですけれども、お金と同時に、そのようなことができるようなことを、都道府県の振興策としてやりなさいよという話では多分、いけないと思いますので、この辺のところの議論も併せてしていただきたいと思います。

 以上です。

【今野副座長】 ありがとうございます。

 どうぞ。

【植上委員】 植上です。今、前鼻先生がおっしゃられたことに付け加えという形なんですけれども、私も教員研修が非常に大事だなと思っています。昨年度、専門学校の教員研修の調査をさせていただいたんですけれども、今、非常にきちっとやられているんですけれども、職業実践専門課程の取組の実質化を図っていくとなったときに、職業実践専門課程の教育を担うにふさわしい教員の研修体制をどういうふうに保証していくのか。各学校の負担だけではなくて、システムとしてどういうふうにやっていくのかというような観点からの検討というのは不可欠かなと思った次第です。

【今野副座長】 いかがでしょうか。川口先生、このペーパーの中でも、学修成果をより意識して、いろいろな対応をやっていかなければいけないことなんですけれども、どういうふうにしていったらいいでしょうか。そのあたり。

【川口委員】 実は、最初に小杉さん御指摘の、非常に評価疲れということで、例えば、ちょっとこれをやり玉に上げるのは失礼なんですけれども、先ほど古賀先生が御説明になった資料の中の24ページ、まさに私立専門学校等評価機構、これが昔は47ぐらいあって、今は37になった。これでも、はっきり言ってしまえば、インプットとか、プロセスとか、アウトプットは仕方ないにしても、非常にそういうものが強いですね。

 例えば今、大学と専門学校というか、ここの一つの大きな違いは、実は学校関係者評価というのが大学にはないんですね、基本的には。外部評価をやるということが入りますから、ゼロとは言えませんけれども、ですから、例えば二重、三重に、特にインプットプロセスはやっちゃうというか、しかも、設置のところにあって、フォローアップまでやり出すと、さらにそれが加わるということで、ですから、どうしても、こういうことは内部質保証、文部科学省の資料6の3ページ目に書いて、これは非常にうまくまとまっていると思うんですけれども、ただ、唯一加えるとしたら、「また」からの後半の部分の下線をしているところ、「学校における内部質保証を前提としたものとするとともに」と、これは実はもうちょっと、「学校における内部質保証が機能していることを前提として」というふうに言うべきなんですね。それが機能しているということは、ほとんどインプットとか、例えば、インプットプロセス、こういうものは既に内部質保証のところで相当やりますが、それがちゃんと、先ほどの古賀先生が非常にいい話をしていただいたのは、随分それがカリキュラム改革につながっているわけですから、ああいうことがちゃんと行われているということが前提の下に、第三者評価システムでは学修成果を意識してやるべきだと。そういう整理をここでしてあるはずなんです。ですから、その上で、やっぱり学修成果というのは、実は分野というか、専門分野と言うべきなのか、それによって随分違うもので、先ほど古賀先生がおっしゃったように、就職率とか取得率というのは、これは評価用語で言えばアウトプットなんですね。アウトカムズじゃない。ですから、まさにそれぞれの学生さんがどういう、私は今、コンピテンシーという言葉を使っておりますけど、コンピテンシーを得て、それがいかに、例えば就職した後に役に立っているか、これをどういうふうに見ていくか、まさにこれが学修成果だと思います。やっぱりそこをどうしていくかという、私はそれぞれの、これから各分野でどういうコンピテンシーを追求しようとしているのか、各分野ごとに整理していただく必要があるんじゃないかなと。必ずしも、共通もありますけれども、各分野固有の部分もあるわけですから、固有というか、何と言ったらいいんだ、私は、全く違うという意味じゃなくて、表現方法が違うと言うべきかもしれませんね。ということを、それぞれのところで整理していただいたものをまとめて、ではどうするかという方向に進めるのが一番いいので、これが結局、先ほど小杉さんがおっしゃった、まさに評価疲れ。評価疲れだから評価を辞めちまおうということは起こらないわけですから、もうこれから、残念ながら。ですから、やっぱりそういう整理が必要なんじゃないかなと思います。

【今野副座長】 ありがとうございました。時間が来ているんですけど、もう五、六分、延長させていただきたいと思います。

 すみません、吉本先生、どうぞ。

【吉本委員】 今の話は、この事業の枠というか、質保証・向上の枠ではなくて、中核的専門人材の事業の中で、既にほぼ仕上がっているものがありますので、それをうまく使っていけば、分野別のラーニング、アウトカムに関するレベルディスクリプター、これは産業界との適切な参照の下に、それから、大学等アカデミックなセクターとの識別の仕方を基に、そういうものを作っていくということを今までやっていますので、一定の成果は出ていると私は考えておりますし、重要なポイントは、それをどう使うかなんですけれども、質保証に係るいろいろな認定基準の実質化のところに、アウトカム指標を、ここにきちんとそろわなければいけないじゃないんですよね。

 一定の幅で、信頼できる幅にあるねということを、質のチェックをしてふるい落とすんじゃなくて、質の認定をしていく。質保証から質の認定に、言ってみれば、この事業そのものを変えてくれと私は思っているんですけど、行った方がよい。質保証・向上じゃなくて、質の認定と向上の事業をやっているんだと私は思うんですよね。結局、それはどういうことかというと、職業実践専門課程、3割ぐらいが出てきて、残りはどうなのか。あるいは、この3割だって、本当の実質化をしないと、怪しいものがたくさんある。どんどんふるい落としていくことが、専修学校制度全体の社会的な評価、信頼性、清水先生がおっしゃっていた、それを高めていくことになるのか、それとも、今、いろいろな問題はあるけど、ここまではできているねということを認めていくことなのかという意味で、質保証から質の認定へと。

 これは海外でも言われますけど、クオリティーアシュアランスからクオリティーエンドースメントだと。裏書きしてあげるというようなこと。エンドースメントのための第三者評価とか学校関係者評価、第三者評価、ここにはまさに、関口先生たちの私立評価機構の方も、学修成果に焦点を当てようと。学修成果に焦点を当てるという意味で、今、分野をどういうふうに分類していくかという研究をされていますので、そこの延長にうまく新しい仕組みが作れればと思うわけです。

【今野副座長】 短く言っていただきまして、ありがとうございました。まだあるかなとも思うんですけれども、すみません、時間が来てしまいましたので、このぐらいにさせていただきます。大きなテーマをたくさん出していただきましたけれども、これからさらに検討していくべき問題だと思います。引き続きよろしくお願いしたいと思います。

 それでは、最後になりますけど、報告事項をお願いいたします。

【廣野専修学校教育振興室長】 資料8-1でございます。「職業実践専門課程」の認定を証明する書類の発行ということで、前回の会議でもお諮りさせていただきました。5月中旬から順次発送ができるようにということで準備を進めさせていただいておりますので、報告でございます。資料8-2では、こうした認定証ですということで、御案内でございます。

 最後、資料9でございます。今後の予定について(案)ということで、させていただいております。年度内には、きょうも御議論、精力的に御指摘いただきまして、職業実践専門課程の今後の質保証の方向性について、まとめが年度内にできればと考えてございますので、きょうの御意見を受けまして、様々な課題といったものを論点整理して、またお諮りさせていただきたいと思っております。

 また、正式な御案内につきましては、近付きましたら改めてさせていただくということで、よろしくお願いいたします。今年度もどうぞよろしくお願いいたします。

【今野副座長】 ちょっと延長してしまいましたけれども、これで終わりたいと思います。ありがとうございました。

お問合せ先

文部科学省総合教育政策局生涯学習推進課専修学校教育振興室

(文部科学省総合教育政策局生涯学習推進課専修学校教育振興室)